BibDeskからMendeleyに移行

僕は文献管理方法として,BibDeskを使っていました.
ただ,そんなには活用できていなくて,読もうと思った論文PDFを,その論文の配布サイトで落としたBibTeX形式の引用情報(著者名,雑誌名,年,タイトルとか)と共に,登録しているだけです.
そうすると,{任意のディレクトリ}/{第一著者名}/{年}-{論文タイトル}.pdfという感じで自動的に保存されるようになっています(例えば,Papers/Axl/1987-Welcome to the jungle.pdf).

ファイル名を管理すると,Mac OSのSpotlightで探しやすいというメリットがありますが,いかんせんBibTeXに登録するのが面倒なのです.そこで,ときどき名前を見かけたMendeleyを使ってみることにします.


何となく試してみた結果,Mendeleyはすごく便利だということが分かりました.
僕が感じたMendeleyの利点は以下.

  • 登録した論文と引用情報をWebで確認できる - Mendeleyにログインすれば,Mendeley Desktopで登録・同期したものを確認できます.論文PDFもダウンロードできます.今流行のクラウドで,バックアップという点からも良いと思います.論文自体はローカルに整理されて保存できます.
  • 論文PDFを登録すれば自動的に引用情報を読み取ってくれる - Mendeley DesktopにPDFを追加すれば,タイトル・著者・雑誌名と言った引用情報を精度高く読み取ってくれます.
  • 論文タイトルから自動的に引用情報を探してきてくれる - PDFから情報を読み取れなくても大丈夫.論文タイトルを入力すればネットから引用情報を探してきます.
  • ローカルファイルがきれいに整理される - BibDeskでもできましたが,よりキレイに整理できるという印象があります.
  • 特定のフォルダを監視 - あるフォルダを常に監視して,ファイルが追加された場合,Mendeley起動時に登録される.論文追加が楽.
  • BibTeX形式で書き出せる - まぁ,必要だったら.
  • 見た目が良い - 好みの問題.
  • iPhoneからも見れる - 試してないけど便利だと思う.iPad持ってたらすごく便利だと思う.

しかし,
引用情報の正確さが必要だったら,以下の手順はおすすめ出来ません.
MendeleyもBibTeXからのインポートが出来るのでそちらを使いましょう.

以下のような手順で論文を整理できます.

アカウントを作る

まず,Mendeleyのウェブサイトでアカウントを作ります.
この以下のサイトが参考になると思います.
Mendeleyの使い方 - 水の中が落ち着く
基本的にはメールアドレスとパスワードを登録するだけです.他の項目は適当で.
アカウント作成が終わったら,Mendeley Desktopをダウンロード.

http://www.mendeley.com/download-mendeley-desktop/
ちなみに,僕はMac環境(Mac OS X 10.7)です.
WindowsとLinuxのクライアントもあります.試していないですが,だいたいできることは一緒だと思います.

Mendeley Desktopの設定

Mendeley Desktop.appを開きます.

いい感じに,Mendeleyを設定します.



ローカルファイル(PDF)を整理して保存する方法です.
メニューバーのPreferences...を開き,タブからFile Organizerを開きます.
以下の画像のように設定します.

  1. 「Organize my files」のチェックボックスにチェックを入れます.
  2. 「Copy file to:」の欄にファイルを保存したいディレクトリを指定します.僕の場合はDropboxのPapersというフォルダにしました.
  3. 「Sort files into subfolders」には,どのようにサブフォルダを作るかを指定します.僕は指定していません.
  4. 「Rename document files」には,PDFファイルがどのようにリネームされて,保存されるかを指定します.僕の場合はファイル名として,発行年と論文タイトルを指定しました.

この例の場合,論文の発行年が「1987年」,論文名が「Welcome to the jungle」の場合,Mendeleyに論文ファイルを登録すると次のようにリネームされ保存されます.

Papers/1987 - Welcome to the jungle.pdf

ちなみに,これらの設定は後から変えても良くて,変更した場合,すでに登録したファイルもリネーム・再保存されます.

すでに持っている論文PDFをMendeleyに追加する

僕の場合はBibDeskで管理していたときもPDFファイルはあるフォルダに入れていました.
そのファルダ内のPDFをまとめてMendeleyに追加できます.
メニューバーの「File」から「Add Folder...」を開きます.

PDFファイルがある場所を選びます.
僕は200本ほど論文がありましたが,かなり早く読み込みました.
読み込み後は,自動で先ほど設定したフォルダにリネームされてコピーされます.
File Organizerを設定していなければ論文ファイルの場所は変わりません.
読み込み中に,PDFから引用情報を読み取っています.
仕組みは良く分からないですが,結構精度が高いです.
自分で読む文献を管理するだけなら,今の手順だけで良いかも知れませんが,引用に用いたりする場合は,自分で確認した方がよいと思います.



うまく読み取れなかった論文は,サイドバーの「Needs Review」というところに入っています.

出来てないファイルをクリックすると,たいがい論文タイトルから間違っているので,それを手動で正しく直します.
論文リストをクリックしたときに出てくるDetailsのところに以下のようなウィンドウが見えているはずです.

「Search by Title」をクリックして論文を探します.
論文がうまく見つかった場合,引用情報が自動で更新されます.
僕の論文リストでは見つからないことはありませんでした.流石ですね.
論文が見つかって,情報がだいたい合っていると思ったら「Details are Correct」を選びます.

ちなみに,もう一度タイトルから論文情報を検索したい場合は,論文リストをサイドリストの「Needs Review」にドラッグすれば,再び再検索できます.

さらに論文を追加する

僕はデスクトップのあるフォルダに,最近見つけた論文を入れて暇なときに読んでいます.
そこに入れた論文をMendeley起動時に自動的に追加させます.
メニューバーの「File」から「Watch Folder...」を開きます.
そして,以下のように監視したいフォルダ(~/Desktop/IEEE SPS)を指定します.

こうすると次回起動時に論文を読み込んで登録してくれます.
もし,前に追加したファイルが残っていても,そこはうまいことやってくれている見たいです.二重登録は起きませんでした.

DOIを使ってより正確な引用情報をゲットする

「Search by Title」は,Google Scholarの検索結果を基にしているみたいですが,不正確な情報も多いようです.
論文情報にDOI(Digital Object Identifier)を追加すれば,より正確な引用情報を自動で得ることができます.
DOIは,例えばIEEEが発行した論文だと,下図の赤枠に表示されている部分です.

このDOIを論文情報編集ウィンドウの「Catalog ID」の「DOI」に入力します.

横の虫眼鏡のアイコンをクリックすると,DOIで検索されます.

上図のように「Lookup Succeeded」と表示されれば,成功です.
より,正確な引用情報が登録されているはずです.




不満点など.

  • PDFから読み取った情報は信頼性が低い.雑誌名が微妙に間違っていたりします.論文の参考文献リストとして使いたい人は,引用情報をしっかりと論文サイトからダウンロードして使ったり,DOIを使った方が良い.
  • 「Search by Title」を使ってもページ数などが微妙に間違っている.新しい論文ほど間違えます.古いものはかなり正確な情報を得ることができます.

しかし,論文整理などには,それほど手間をかけなくても良いし,アプリケーションも使いやすいので,非常に便利なのではないでしょうか.